ホルモンの材料となるコレステロール

コレステロールの働き

 

身体のなかには4種類の脂質(中性脂肪、コレステロール、リン脂質、遊離脂肪酸)が存在します。

その中の一つがコレステロールです。

 

 

 

コレステロールの主な働きは以下の通りです。

 

 

・コレステロールは酢酸を原料に体内で作られる

 

・コレステロールは体に必要不可欠な脂質成分の1つ

 

・同じ脂質の中性脂肪が主にエネルギーに使われるのに対し、コレステロールは細胞膜やホルモンなどの成分となる。

 

・肝臓で作られ血流に乗って全身に運ばれる

 

・コレステロールは血中では特殊なタンパク質に包まれたリポタンパクとして存在する。そして、比重の違いからLDLとHDLに分けられる。

 

・肝臓で作られたコレステロールはLDLとなって全身の細胞に届く。

 

 

 

 

コレステロールの種類

 

 

コレステロールは脂なので、血液に溶けません。そのため体内を循環するときは水に溶ける「リポタンパク」という形で存在しています。 

善玉と悪玉の違いは「リポタンパク」の比重の違いによるものです。

 

■LDLコレステロール

 

「悪玉コレステロール」と言われコレステロールを多く含む低比重リポタンパク質。肝臓で作られたコレステロールを全身に運ぶ働きがあります。

 

 

■HDLコレステロール

 

「善玉コレステロール」と言われタンパク質を多く含む高比重リポタンパク質。コレステロールを肝臓に戻すお掃除役です。

 

悪玉コレステロール(LDL)はカラダにコレステロールをため、善玉コレステロール(HDL)はそれを回収しますが、運ばれるばかりで回収が追いつかないと余分なコレステロールがたまり、動脈硬化の原因になる場合があります。また、ふたつのバランス崩れて、血液中のコレステロールが増えすぎたのが、脂質異常症と呼ばれる状態です。

 

 

 

 

悪玉コレステロールは悪なのか?

 

まず、コレステロールの摂取量を気にする方がいると思いますが、コレステロールは、7割が体内で作られます。食事から摂取するコレステロールは一部に過ぎず、食事から多く摂れば、体内で作る量を減らすという調整機能が人間の体には備わっています。

 

それよりも、脂肪やコレステロールと同時に多量の糖質を摂取してしまうと、血液中のブドウ糖が増え過ぎて、血液中には活性酸素という物質が発生するようになります。

 

活性酸素によって血管壁にダメージが蓄積され、血管の内膜が傷ついていきます。健康である場合には、コレステロールは血管で蓄積されず、スムーズに流れていきます。

 

しかし、血管が傷ついてしまうと、その部分に悪玉コレステロールが溜まっていきます。そうすると、血管の内腔が狭くなり、血液がスムーズに流れなくなってしまうのです。

 

つまり、悪玉コレステロールが悪いのではなく、高血糖の状態が問題になってきますので、高脂肪の食品を食べる場合には、糖質の摂取を減らすことが重要です。

 

 

 

 

 

 

逆にコレステロールが低いと、人はどうなるのか?

 

一般的に、コレステロール値が高いことでのリスクは認知されていますが、低すぎることのリスクは案外知られていません。

実は、不足することでこんな以下の様なリスクが高まるといわれています。

 

●男性・女性ホルモンが低下する

 

●血管の細胞膜が弱くなるので、血管がもろくなり、脳出血を起こしやすくなる

 

●胆汁酸が不足するので、脂肪が消化、吸収されにくくなる

 

●副腎皮質ホルモンの減少により、疲労、感染症、食欲減退をまねく

 

●脳の神経伝達の働きが悪くなる

 

 

コレステロール不足の食事を摂り続けると、たんぱく質、ビタミン、ミネラルも不足し、しっかりとした細胞膜が作られなくなり、ウイルスや細菌から体を守る守る防護機能が衰えていきます。

 

その結果、免疫細胞の中心でもある白血球の働きが弱くなり、免疫力が低下します。

 

 

 

 

 

 

 

 

コレステロールの摂取ポイント

 

悪玉コレステロールと善玉コレステロールのバランスを守ることが大切です。

 

もし、脂質異常症(LDL-コレステロールが140mg/dL未満、HDL-コレステロールが40mg/dL以上、トリグリセライド(中性脂肪)が150mg/dL未満の範囲をいずれかが超えた場合のこと)がある場合は、以下の6つのポイントを守ることをおすすめします。

 

 

1.食物繊維の多い食事をする

 

食物繊維はコレステロールを吸着して対外に排出してくれる役割があります。

 

 

2.野菜・海藻・大豆製品・魚を積極的に食べる

 

野菜からとれるβ-カロテン・ビタミンC・ビタミンEなどのビタミン、大豆製品の植物性タンパク質、魚介類に含まれるタウリンはコレステロールを下げる働きがあります。

そのほかには、ごまのリグナン、緑茶のカテキンにコレステロールを下げる作用があると言われています。

 

 

3.お酒は適量を守る

 

アルコールは少しの量を飲んでいる分には、善玉コレステロールを増やす効果があります。ただし、問題は飲みすぎること。 お酒は適量を守って長く楽しめるようにしましょう。

 

 

 

4.油の種類を選ぶ

 

サフラワー油、ひまわり油、コーン油に含まれるリノール酸は悪玉コレステロールを減少させますが、取りすぎはHDL(善玉)も減少させてしまします。

 

魚の脂であるEPA、DHAやしそ油、亜麻仁油に多く含まれるα-リノレン酸、オリーブ油のオレイン酸は悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やしてくれます。

 

しかし、油は高カロリーですので、取り過ぎには気をつけましょう。

 

 

5.たばこは禁煙、または節煙を心がける

 

たばこを吸うと、善玉コレステロールを下げてしまうことが明らかになっています。 

 

 

6.適度な運動をする

 

1日の歩数が多い人ほど善玉コレステロールが高いという結果が得られています。 1度にハードな運度をするより、速足で歩くとか、階段を昇り降りするなど日常的に継続するものがおすすめです。

 

 

7.糖質の多い炭水化物などをあまり食べないように心がける

 

糖質の摂取を減らせば、活性酸素の発生を抑えることができます。

 

 

 

 

 

まとめ

 

コレステロールを取り過ぎると体に悪いというイメージがあったと思います。

 

しかし、コレステロールはむしろ人間の体には不可欠で、コレステロール値が低いほうが、体にいろんな支障をきたしてしまうことがわかってきています。

 

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