ハーバード大学のEARTH Studyチームは、体外受精に臨む女性232名からランダムに100名を選び、治療周期3日目から9日目に血中のオメガ6系脂肪酸とオメガ3系脂肪酸を測定し、その後1年間の136周期との治療成績との関連を調べています。
その結果、血中のオメガ3系脂肪酸のDHAやEPA濃度が高いほど妊娠率や出産率が高く、DHAやEPA濃度が1%上昇するごとに妊娠率や出産率は、どちらも8%増加したというのです。上昇効果はEPAのほうが大きく、EPA濃度が1%上昇するごとに妊娠率は10%、出産率は15%、それぞれ増加したとのこと。
その一方で、オメガ6系脂肪酸やトータルの必須脂肪酸濃度、さらには、オメガ6とオメガ3の比率については、いずれも治療成績に関連しませんでした。
また、体外受精に臨む女性168名に治療開始前に食物摂取頻度調査票を使って食事やサプリメントからのオメガ6系脂肪酸とオメガ3系脂肪酸の摂取量を算出し、その後1年間の297治療周期との関連を調べています。
食事やサプリメントからの摂取量でもDHAやEPAの摂取量が多いほど治療成績が高いことがわかり、総エネルギー摂取の1%の飽和脂肪酸をDHAやEPAに変えることは2.37倍の出産率と関連しました。
このことから、DHAやEPAの摂取量や血中濃度が高いほど妊娠率や出産率が高いことがわかりました。
参考文献:http://www.akanbou.com/news/news.2017111801.html
EPA・DHAは魚に多く含まれていますが、その含有量は魚の種類によって異なります。
含有量が多いのがイワシ、サバ、サンマ、マグロといった青魚です。
また、同じ魚でも食べる部分によって含有量が違います。
EPA・DHAは脂肪の一部ですので、脂肪が少ない部分だと含有量が少なくなります。
例えば、マグロだと、脂身(トロ)100gにはEPAとDHAを合わせて約4.5gが含まれていますが、赤身だと0.15g程度しか含まれていません。
日本人の食事摂取基準(2015年版)では、n-3系脂肪酸注)の摂取目安量を1日2g前後としています。
適切な食品を選べば普通の食生活で十分な量を摂とることができます。
まとめ
DHAとEPAは、どちらも体内ではほとんど作られない必須脂肪酸の一種です。
外食や加工食品の普及、またコンビニで手軽に買えるお弁当やスナック菓子など、現代の食生活では、知らないうちにオメガ6系の油を大量に摂っています。
本来[オメガ3系:オメガ6系]は[1:4]の割合で摂るのが理想です。
伝統的な日本食ではこの割合が自然に守られているのですが、魚料理や野菜が少なく脂質が多い欧米型の食事では、オメガ3(α‐リノレン酸、DHA・EPA)が不足しがちです。
逆にオメガ6(特にリノール酸)は摂りすぎになっていて、1:10~1:40にまでバランスが崩れているのが現状です。
リノール酸を摂りすぎると、体に良いオメガ3の油が体内で効率よく働いてくれません。
摂取目標の[1:4]に近づけるよう、α‐リノレン酸やDHA・EPAを積極的に摂るとともに、リノール酸の摂取を減らすよう努めましょう!