AMH(卵巣年齢)検査とは?
女性の卵子は、胎児のときにつくられたものが保存されているだけで、新たに作られることがありません。
加齢や排卵のたびに数が減っていき、卵子そのものも年を取り、質が低下していきます。
しかし、残された卵の数や質の状態は、個人差があり実年齢と比例するわけではありません。
「AMH検査」では、血液検査で抗ミュラー管ホルモンという女性ホルモンの数値を出して、年齢ごとの平均値と照らし合わせます。
卵巣年齢や残された卵子の数が分かり、現時点で妊娠できる確率や妊娠できなくなるまでのタイムリミットに目安をつけることができるのです。
AHM検査からわかることとは?
卵巣機能が低下するとFSH(卵胞刺激ホルモン)の値が上昇しますので、以前は卵巣の反応性を知る指標としてFSHが用いられていました。
しかし、FSHが上昇するのは、かなり卵巣機能が落ちてしまってからということがわかってきました。
AMHの低下はFSHの上昇に先駆けて起こるため、最近では、卵巣予備能の低下をいち早く把握できる指標として、AMHが活用されています。
また、AMH低濃度では、自然排卵が起こりにくいだけでなく、不妊治療の際に排卵誘発に反応しないことが多くなり、 タイミング療法や人工授精、体外受精を予定していても、卵胞が発育しないため治療を断念せざるを得ないという事態が懸念されます。
そのような事態を避けるためには卵巣年齢を把握しておくことはとても重要です。
また、卵巣内の発育卵胞数を知ることによって、適切な排卵誘発法を選択することができるため、 逆に卵胞が育ちすぎて卵巣が腫れてしまう卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のリスクを下げることができ、効率良く治療を進めることができます。
AMH検査の費用は?
AMH検査は血中のAMH濃度を測る検査のため、採血によって行います。
基本的に生理周期の影響を受けないとされていますが、排卵後は値が多少下がる傾向にあります。
クリニックによっては望ましい検査時期(D3-生理3日目など)を定めているところもあります。
検査費用はおよそ5,000円から10,000円です。
健康保険は適用されず、すべて自費診療です。
結果が判明するまでには、通常1〜2週間ほどかかり、検査結果はクリニックによって郵送、もしくは診察の際に医師から報告されるケースに分けられます。
AMHと妊娠率の関係とは?
よく誤解されるのが、「AMH値が低=妊娠率も低い」と思われがちなことです。
実はほとんどゼロに近い数値でも自然に妊娠・出産している人はたくさんいます。
重要なのは、受精するまでの利用できる質の良い卵が残っているかどうかが問題です。
卵子は年齢とともに古くなり、質は低下することがわかっています。
つまり、AMHの値が同じでも、30歳の人と40歳の人とでは、30歳の人の方が妊娠しやすいということです。
卵の数が少ないということは、妊娠率が低くなるということではなく、不妊治療をできる期間が限られてくる、ということを示すのであって、「妊娠率=AMH」ということではありません。
AMH検査での数値は改善できるのか?
残念ながら、卵子の数を増やすことはできないので、AMHの数値を改善することはできません。
AMHの値が高いほど卵子の数が多い(=卵巣年齢が若い)とされますが、AMH検査でわかる卵子の数と、卵子の質は関係がありません。
つまり、卵子の老化を防ぐ(=質を下げない)ことで、妊娠する確率を維持することはできます。
例えば、次のような生活習慣を心がけていきましょう。
● 良質な睡眠をとる
● 適度な運動をする
● 抗酸化作用のある食品を意識的に摂る
● 栄養バランスのとれた食事を心がける
● 体が冷えないようにする
● 禁煙
まとめ
「妊娠できるまでの時間」を知ることのできるAMH(卵巣年齢)検査は、不妊治療などを考えている人にとってとても有効です。
精神的に少しつらい検査にはなりますが、より効率のよい不妊治療を考えるためには、受けておきたい検査の一つです。
AMH(卵巣年齢)検査を受けたからといって、卵子の数を増やすことはできません。
しかし、ライフスタイルを見直すことで、「質」は悪くすることは避けられるので、卵巣年齢検査(AMH検査)での結果が悪かった場合は、今まで以上に健康的な生活を送るように心がけましょう。