精子の老化とは?
精子は、思春期以降、高齢になっても毎日新しくつくられているため、老化はしないと思われているかもしれませんが、実は精子も加齢とともに徐々に機能が低下します。
精巣の大きさも少しずつ小さくなり、男性ホルモンをつくる力も緩やかに弱くなっていきます。
1日に作られる精子数は年齢とともに減少すると言われていますが、精液量も減るので精子濃度はあまり変わらないとされています。
たとえ運動精子が存在していても、その精子の機能が低下していると、体外受精などによる受精率や妊娠率が低下する可能性があります。
アメリカの生殖技術研究所が発表した、男性5,081人を対象にした精液の調査結果によると、35歳を超えると精子の総数や総運動量、正常な精子の割合が減少しています。
精子の数は、35歳から毎年1.71%ずつ減り、精子自体の奇形率は40歳から0.84%ずつ増えていると発表されています。
精子が老化すると流産する可能性が増える?
自然流産の頻度は、全妊娠の8~15%といわれており、35歳以上の妊婦さんではその確率が著しくあがります。
しかし、女性の年齢など、他の要因の影響を除いても、男性の年齢が上がると自然流産の確率が上がるという報告も多数あります。
中には、45歳以上の男性では、25歳未満の男性と比較して、自然流産の確率が約2倍になったものや、自然流産に与える影響は男性の40歳以上は女性の30歳以上に相当するとの報告もあります。
また、父親の年齢が高いほどDNA配列の変異が起きやすく、子供の自閉症や統合失調症が増えるとの報告もあります。
精子の老化を測る新しい方法とは?
従来の精液検査では、精液のPH 量、濃度、運動率といった精子の外見だけしかわかりませんでした。
しかし、最近では精子の妊娠させる能力を調べる検査として「精子機能検査」というものが出てきました。
受精卵が発生する初期段階は、哺乳類に共通のメカニズムが働いています。
そのメカニズムを利用して、人間の精子とマウスの卵子で顕微授精を行い、受精するかどうかを検査します。
一人の男性の精子について、複数のマウス卵への顕微授精を行い、その卵活性化率から、精子の「妊娠させる能力」を測定します。
また、DNAが損傷した精子がどのくらいあるかを調べる「精子DNA断片化率の検査」というものもあり、損傷した精子が多いほど、自然妊娠が起こりにくく、顕微授精した場合も流産率が高くなることがわかっています。
精子を老化させないためには?
・ タバコ
(タバコは酸化ストレスの原因です。喫煙は女性のみならず、男性も妊娠率を低下させて流産率を上昇させます。)
・ 飲酒
(過量のアルコールは精液の状態を悪化させます。)
・ストレス
(心のストレスで精液の状態が悪化する可能性があります。)
・ バランスの良い食生活
(肉魚野菜を多く摂取し、炭水化物過多を避け、バランスの良い食生活を心がけましょう。)
・ 禁欲しすぎない
(禁欲期間が長すぎると、精子が酸化ストレスを受けるために運動率が低下します。)
・ 長時間にわたる自転車の運転
(サドルの圧迫で精液の状態が悪化したり、EDになることがあります。)
・ 精巣は温めない
(下着はブリーフよりトランクスにしましょう。長風呂や高温サウナ、膝上でのパソコン作業は控えましょう。)
・ 育毛剤に注意
(プロペシアは男性ホルモンに働き、精液の状態を悪化させる可能性あります。)
・ 肥満
(肥満は妊娠率を下げます。)
・ しっかり睡眠をとる
(睡眠不足は酸化ストレスの原因です。)
まとめ
男性にも、高齢出産は大いに関係がある問題です。
男性の抱える高齢出産の問題や、リスクは自分だけではなく、最終的にはお母さんや赤ちゃんにも大きな影響を与えたり、危険を伴う可能性もあるのです。
少しでも安全に出産に挑み、健康な子供が生まれてくれるために、男性側もできる範囲でお母さんに協力し、自身の生活を見直しましょう。