風疹とは?
風疹ウイルスに感染することで起こる病気です。
患者さんの咳やくしゃみで飛び散った細かい水滴の中にいるウイルスを吸い込むことで感染する飛沫感染です。
飛沫は水分を含んで重いので、だいたい患者さんの1〜2m以内にいた場合に感染はおこります。
空気感染のようにウイルスが空中を長時間漂うことはありません。
空気感染の代表である麻疹や水痘ほど感染力は強くありません。
風疹の症状
感染してから2週間ほどで症状が表れ、5日間程度下記の症状が続きます。
・体のだるさと発熱
・ポツポツとした赤い発疹
・耳や首の後ろのリンパ節の腫れ
ただし、症状だけで風疹と断定することは難しく、抗体検査をしてはじめて確定となります。
子供の方が軽く、大人がかかると発熱や発疹がやや長引く傾向があります。
一度感染し治癒すると大部分の人は終生免疫を獲得するので二度と風疹にかかることはありません。
感染力のある期間は?
発疹の出た時点を挟んで前後2週間くらいが感染力があると考えられています。
ただし気をつけたいのは、ウイルスに感染しても症状が出ない人(不顕性感染)が15%程度いるということです。
風疹感染しても症状が出ないことを不顕性感染と言います。
不顕性感染の場合、胎児に感染する可能性は2~4%ですが、症状が出ると、胎児感染率は60%程度にまで上昇します。
症状は無くてもちゃんと免疫ができますが、それは知らぬ間に人に感染させる可能性もあるということです。
風疹が恐れられる理由とは?
妊娠初期の女性が感染すると、生まれてくる赤ちゃんが先天性風疹症候群 (CRS)になる可能性があるためです。
先天性風疹症候群とは?
妊婦とくに、妊娠初期の女性が風疹にかかると、胎児が風疹ウイルスに感染し、難聴、心疾患、白内障、そして精神や身体の発達の遅れ等の障がいをもった赤ちゃんがうまれる可能性があります。
これらの障がいを先天性風疹症候群といいます。
妊娠 1 か月以内に風疹にかかると、約 50%、妊娠 3 か月以内の場合は約 20%の確率で先天性風疹症候群の赤ちゃんが生まれます。
妊娠 6 か月をすぎれば、先天性風疹症候群はおこらなくなります。
しかし、聴覚が完成するのは他の器官よりも遅く、妊娠中期での感染による聴覚障害も報告されており、妊娠中期までは風疹にかからないよう注意が必要です。
おとな風疹が増えてきているのはなぜ?
風疹は、子どものころに感染することで免疫を獲得していましたが、先天性風疹症候群の予防対策などから、1977年から国と自治体の負担で、当初は中学生女子を対象に定期接種が始まりました。
しかし、30歳代後半~40歳代の男性は、これまでに風疹ワクチンが定期接種となったことがなく、接種の機会がありませんでした。
20歳代後半~30歳代前半の方は、中学生のころに定期接種はあったものの、学校などでの集団接種ではなく、保護者と一緒に医療機関に行って個別に接種する必要があり、接種率が低い。
このため、免疫を持たない人の割合が多く、周囲に風疹の人がいるとかかりやすくなっています。
・昭和37年4月1日以前生まれの男女
定期接種制度が行われていませんでしたが、大半の人が自然に風疹に感染することで免疫があります。
・昭和37年4月2日~昭和54年4月1日以前生まれの男性
中学生の時に女性のみを対象として、学校で集団接種が行われていたため、自然に風しんに感染する機会が減少しましたが、男性は定期接種制度が行われていないので、風疹の免疫がない人が多い世代です。
・昭和54年4月2日~昭和62年10月1日生まれの男女
男女とも中学生の時に予防接種を受ける対象になっていましたが、中学生のときに個別に医療機関で予防接種を受ける制度であったため、接種率が低く、風疹の免疫がない人が多い世代です。
・昭和62年10月2日~平成2年4月1日生まれの男女
男女とも幼児のときに予防接種を受ける対象となり、接種率は比較的高いのですが、自然に風疹に感染する機会がさらに減少したため、接種を受けていない人には風疹の免疫がない人が比較的多い世代です。
風疹にかからない為には?
現在、先天性風疹症候群に対する治療法がありませんので、風疹に罹らないことが重要です。
風疹は、免疫は一生続くと言われている為、予防接種を受けたり、風疹に罹った人は、基本的には二度とかかりません。
抗体検査は本来なら5000円程度掛かりますが、自治体によっては無料で受けられることもあります。
また、近年、成人男性が風疹にかかるケースが非常に増えています。
そのため、夫である男性も、抗体検査や予防接種を受けるべきです。
妊娠中は風疹の予防接種を受けることが出来ませので、早期の抗体検査をしましょう!
まとめ
妊娠をすぐに希望している人はもちろん、いつかはと考えている人も、これを機に予防接種を受けておくと良いと思います。
また、妊娠中に風疹抗体がない・不十分とわかった場合は、次の子のために、出産後早めに予防接種を受けることをおすすめします。