40代以上で初めて子どもを産んだ人はどの位いるのか?
厚生労働省が発表した「平成 27 年人口動態統計月報年計(概数)の概況 」によると、
・40歳以上で「出産」した女性の割合
1985年:約0.6% 約143万件の出生数中約8500件
1995年:約1.1% 約119万件の出生中約13000件
2005年:約1.9% 約106万件の出生中約20000件
2015年:約5.4% 約101万件の出生中約54000件
・40歳以上で「初産」した女性の割合
2012年:約3.3% 約48万人中16000人
2013年:約3.8% 約48万人中約18000人
2014年:約4.1% 約47万人中約20000人
2015年:約4.4% 約48万人中約21000人
・40歳以上で「二人目」を出産した女性の割合
2012年:約4.1% 約38万人中約16000人
2013年:約4.7% 約38万人中約18000人、
2014年:約5.2% 約36万人中約19000人
2015年:約5.5% 約36万人中約20000人
となっています。
40歳以上の妊娠・出産のリスクとは?
・妊娠高血圧症候群
昔は「妊娠中毒症」とも呼ばれていました。
「妊娠20週以降~分娩後12週の間に、高血圧、あるいは高血圧と蛋白尿の症状がみられる場合」を、妊娠高血圧症候群といいます。
妊娠20週以降~32週未満で発症する場合を早発型、妊娠32週以降での発症を遅発型といいます。
早発型の方が重症化しやすいといわれており、注意が必要です。
妊婦の20人に1人が発症するとされている比較的メジャーな病気です。
しかし、34歳以下の発症率が約10%なのに対し、40歳以上では30%の発症率となっています。
単純にこの数字だけで見ると、高齢出産による妊娠高血圧症候群の発症率は約3倍ということになります。
妊娠高血圧症候群は多くの妊婦がなりますが、母子に与える危険性はとても高いです。
胎児への影響としては、低出生体重児や常位胎盤早期剥離による早産、流産の可能性があり、命の危険にさらされます。
また、本人自身も高血圧脳症になる可能性があり、この場合も命を落とす可能性があります。
妊娠高血圧症候群の原因は、現在のところはっきりとわかっていませんが、日頃の生活習慣を見直すことで多少リスクを緩和できるそうです。
・流産
流産とは、妊娠22週目までに何らかの原因をもって妊娠が継続できなくなってしまうことです。
流産の確率は、20代が9~11%です。
しかし40代を過ぎると、50%以上と確率が一気に高くなります。
45歳になると6割を超えます。
これは子宮が弱っているということではなく、年齢が上がると卵子が老化し、育たないもの(染色体異常)を含む率が高くなっていることが原因です。
胎盤がしっかりと形成される妊娠12週目頃まで、流産を起こす確率が高いです。
流産の80%は妊娠12週目までに起こるといわれています。
・染色体異常
「産婦人科診療ガイドライン産科編2011」が掲載している海外の文献を引用した表によると、25歳でダウン症の赤ちゃんを出産する割合は1352人に1人ですが、35歳では356人に1人となり、40歳では97人に1人となっています。
羊水検査は染色体異常の有無がほぼ正確にわかりますが、検査には流産のリスクもあります。
2013年から始まったNIPT(新型出生前診断)は、血液検査で流産の心配がない検査です。
陽性と出ても確定診断にはなりませんが、羊水検査を考えている場合は、まずこの検査を受けてみるのもひとつの選択肢です。
胎児超音波の専門医に診てもらう方法もあります。
ハイリスク妊産婦とは?
40歳以上で初産を迎える女性はハイリスク妊産婦に含まれます。
これは、厚生労働省厚生労働科学研究班が作成した「妊娠リスクスコア」に基づいて、リスクを点数化し、ハイリスク妊産婦、中リスク妊産婦、低リスク妊産婦と3つに区分します。
そして、ハイリスク妊婦は周産期母子医療センターへ、低リスク妊婦は個人院へと誘導するものです。
ハイリスク妊産婦とは、妊娠中あるいは分娩時に、母子のいずれか、または両方に何らかのトラブルがおこる可能性が高い妊娠と定義されています。
ハイリスク妊産婦となると、帝王切開率、分娩時大量出血率、輸血率、早産率、新生児仮死率、NICU入院率等が、低リスク妊産婦の5~10倍になるといわれています。
妊娠リスクスコアでは、下記のような項目について点数化し、合計点数が4点以上のときは「ハイリスク妊娠」と判断されます。
妊娠リスクスコアは、妊娠が判明した初期の段階にチェックする「初期 妊娠リスクスコア」と妊娠20週以降になってからチェックする「後半期 妊娠リスクスコア」とがあります。
・18歳未満の低年齢妊娠
・初産が高齢出産の妊娠
・ママの身長が150cm未満
・肥満(BMI25以上)
・飲酒や喫煙の習慣がある
・心臓病・糖尿病・腎臓病・自己免疫疾患を持っている
・子宮筋腫がある
・子宮腔部の手術を受けた経験がある
・前回の妊娠・出産に異常があった
・胎児が何らかの病気や障害を持っている
・多胎妊娠
・不妊治療での妊娠
・重い妊娠高血圧症候群である
・切迫早産
・羊水量が多すぎる、あるいは少なすぎる
・前置胎盤
・胎児が大きすぎる、あるいは小さすぎる
・妊娠36週を過ぎても逆子、あるいは横位である
などがあります。
*http://www.hospital.yaizu.shizuoka.jp/syusanki/file/risk%20score.pdf(妊娠リスクスコア票)
まとめ
年齢とともに自然妊娠の確率が低下していくことは、しょうがないことです。
高齢出産にはさまざまなリスクもありますが、それでも無事に出産を乗り越えた方も少なくありません。
正しい知識を持って、なるべく安全に出産できるようにしたいですね。