性ホルモンの検査でわかること

性周期とホルモン基準値

女性ホルモンの数値は月経周期によりことなります。

月経周期(28日周期の場合)は卵胞期(約1~14日目)、卵胞期(約14日目)、黄体期(15~28日目)にわけられます。

28日周期の例ですが、実際は25日から35日くらいの個人差があります。

また、2割の女性で周期が不規則であるというデータもあります。

FSH、LH、E2の検査は月経3日目におこなうことが理想です。

P4の検査は、ホルモンの分泌がピークに達する排卵1週間後に採血しておこないます。



項目(単位)                       卵胞期         排卵期          黄体期

PRL(プロラクチン)(ng/mL)             6.1~30.5     6.1~30.5     6.1~30.5

FSH(卵胞刺激ホルモン)(mlU/mL)            3.0〜14.7       3.2〜16.6        1.5〜8.5

LH(黄体形成ホルモン)(mlU/mL)            1.8〜10.2          2.2〜88.3         5.7〜64.3

E2(エストラジオール)(pg/mL)             19.0〜226.0      49.0〜487.0       78.0〜252.0

P4(プロゲステロン)(ng/mL)              0.4以下         3.7以下         8.5〜21.9

TS(テストステロン)(ng/dl)             8~85        8~85      8~85

TSH(甲状腺刺激ホルモン)(μIU /ml)         0.54~4.54     0.54~4.54     0.54~4.54







ホルモン値があわらす意味とは?

・プロラクチン

プロラクチン乳汁分泌に関わるホルモンです。

プロラクチンは妊娠中に高くなるホルモンで、妊娠中は100前後~300 ng/mℓと数値が上がります。 

高プロラクチン血症の場合、乳漏症、排卵障害、黄体機能不全、初期流産との関連が報告されています。

プロラクチン値は排卵期でやや上昇しますが、食事、運動、睡眠、ストレス、乳房刺激、内診による疼痛刺激等によっても上昇します。

また、向精神薬、降圧剤、胃腸薬の服用でプロラクチン値が高くなることもあります。

高プロラクチン血症の診断基準は昼間安静時の血中プロラクチン値が15ng/mlとされています。

50ng/mlの場合、下垂体プロラクチノーマ等の器質的疾患の可能性も考えられます。





・FSH、LH

FSHやLHは卵胞の発育促進や排卵を促すというような作用があります。

加齢とともにFSH基礎値が上昇し、妊孕力が低下するという報告が数多くされています。

FSH測定は月経周期3日目の血液検査が多いです。

LHおよびFSHの値が低い場合は視床下部、下垂体の働きに問題があると考えられ、FSHの値が高い場合、卵巣機能が低下している疑いがあります。

また、LHの値のみが高い場合は、多嚢胞性卵巣症候群(PCO)が疑われます。





・エストラジオール

E2はエストロゲンの一種で、卵胞ホルモンとも呼ばれています。

生殖器を発育させたり、子宮内膜を肥厚させたりする作用があります。

一般的にLHやFSHと同時に採血されることが多く、月経開始3日目~7日目以内の採決が標準です。

E2が基準値よりも低いと、卵巣機能が低下していることを意味し、無排卵や無月経という症状のほかに、更年期に入ったことを示唆することもあります。

E2が基準値よりも高いと、卵巣機能は高まっているものの、エストロゲン産生腫瘍などの病気が疑われます。





・プロゲステロン

プロゲステロンは体温上昇、子宮内膜を厚くさせ、妊娠を維持させる働きがあります。

黄体機能評価の基本になります。

黄体期中期の正常値は10ng/ml以上とされています。





・テストステロン

テストステロンは男性ホルモンの一種です。

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)が疑われる場合、必須のホルモン検査になります。

測定時期は3日目~7日目になります。





・甲状腺刺激ホルモン

甲状腺ホルモンは、体の発育を促進し、新陳代謝を盛んにする働きがあります。

甲状腺刺激ホルモン(TSH)は血液中の甲状腺ホルモンのほんの少しの変動も敏感にキャッチして、甲状腺ホルモンの量を一定に保つように指示しています。

甲状腺機能の異常には、機能が異常に強くなる「甲状腺機能亢進症(バセドウ病)」や、逆に機能が下がる「甲状腺機能低下症」などがあり、不妊治療を希望する方は内科での甲状腺治療が最優先です。

最近の不妊検査ではTSHだけが低下する「潜在性甲状腺機能障害」が増えています。

TSHは脳下垂体と密に連携しているため卵胞刺激ホルモンや排卵・黄体化ホルモンの低下をもたらし、卵子発達障害や排卵障害を来すほか不育症や習慣性流産を招くこともあります。







まとめ

妊活する上で、まずは、自分の身体を知ることが大事だと思います。

女性ホルモン検査を受けることで、脳の状態から排卵や月経に関する異常まで、たくさんの情報を得ることができます。

なかなか子どもができなくて悩んでいる方は、まずは病院に行くことをオススメします。