太陽のビタミンといわれるビタミンD

ビタミンDとは?

ビタミンDとは、ビタミンD2 (エルゴカルシフェロール) とD3 (コレカルシフェロール) の総称です。

ビタミンDによる調節を受ける遺伝子は少なくとも1000種類はあると考えられており、主に体内カルシウムの調節に関与する遺伝子が代表格であり、骨形成において重要な働きをしています。

しかし、ここ数十年で免疫反応に重要な役割を果たすさまざまな遺伝子など、ビタミンDの影響を受ける遺伝子群が他にもたくさん見つかってきています。

紫外線の照射によって、ビタミンD2は植物に存在するエルゴステロールから生成され、ビタミンD3は動物に存在する7-デヒドロコレステロール (7-DHC) から生成されます。

ビタミンD2は、干ししいたけやきくらげ等の植物性食品に多く含まれており、ビタミンD3はサケやサンマ等の動物性食品に多く含まれています。

人間の体では、ビタミンD3の方がより効率的に使われます。

D2とD3の働きは同じといわれていますが、最近ではビタミンD3の方がD2よりも2倍働きが強いとする意見もあります。

また、私たちの皮膚は紫外線にあたることでビタミンDが合成されます。

紫外線の中のUV-B(280~315nm)と呼ばれる光がつくってくれます。

UV-Bは、日焼けの原因になる光です。

そしてUV-Bのうち、295nmでいちばんたくさんビタミンDがつくられます。

UV-Bは服やガラスを通れません。

ですので、いつも屋内で過ごしたり、外出するときに必ず日焼け止めを塗る人は、いつもビタミンD不足になっているおそれがあります。

東京都内で夏に直射日光を30分浴びると、700~800IUのビタミンDが体内につくられるといわれています。※肌の露出度10%の場合






ビタミンDは不妊に対して有効なのか?

ビタミンD受容体は卵巣の生殖器に分布しており、妊娠の成立にビタミンDが深く関わっているといわれています。

そこで、ビタミンDと妊娠の研究論文をご紹介します。


ビタミンDは子宮内膜の環境を整えるために、着床に必要である(Hum Reprod 2012; 27: 3015)

ビタミンD濃度は子宮内膜の着床環境に関与している(Fertility and Sterility November 23, 2013)

40代ではビタミンD濃度が低い女性ほど卵子の減少が早い(Fertil Steril 2012; 98: 228)

多嚢胞性卵巣症候群の女性はそうでない女性に比べてビタミンD不足が多く、ビタミンDを補充することで排卵率が改善される(Clinical Endocrinology 2012; 77: 343) 

血中のビタミンD欠乏は体外受精での低い着床率や妊娠率に関連する(The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism August 14, 2014)

体内のビタミンD濃度が正常な女性は、不足している女性より体外受精の妊娠率が上昇していたFertil Steril February 2014 Volume 101, Issue 2, Pages 447-452) 

ビタミンD不足は初期流産のリスク上昇と関連する(American Journal of Clinical Nutrition July 15, 2015.)

習慣性流産の女性はビタミンD欠乏が多く、免疫異常のリスクも高い(Hum. Reprod. (2014) 29(2): 208-219.)






ビタミンDを多く含む食品とは?

ビタミンDは魚介類、卵、きのこ類に豊富に含まれていて、中でも紅鮭には100gあたり33µg、塩鮭は100gあたり23µgのビタミンDが含まれているので、効率よくビタミンDをとることができます。

サンマ(1尾:約150gあたり)20µgや、アジ(1尾:約80gあたり)14.4µgもビタミンDが多い食材です。

きのこ類では、黒キクラゲがトップクラスの含有量で、乾燥キクラゲ3gで13.1µgのビタミンDがとれます。

干ししいたけも豊富な食材で、5gで1µgのビタミンDがとれます。

卵は1個約1μgです。

魚介類やきのこを召し上がる機会の少ない方は、ビタミンDを多く含む食材を意識してとるようにしましょう。






まとめ

生活スタイルによっては、食事や日光浴だけでは摂取量が不足している可能性があります。

紫外線量の少ない冬場の晴れた日は日光浴を適度に楽しみ、普段から魚・卵・きのこ類をしっかりと摂ることで、妊娠力を守っていきましょう!