エンドトキシンとは?
エンドトキシンとは、グラム陰性桿菌という細菌の細胞膜成分が毒素として子宮内に残っているものです。
子宮の入口には頸管粘液といって、外部から細菌の侵入を防ぐための粘液が分泌されています。
しかし、子宮内膜生検、子宮卵管造影、卵管通水術などの子宮内に器具を入れるような子宮内操作や、自己の抵抗力の低下により細菌が侵入してしまうケースがあります。
通常、子宮内に細菌が侵入した場合、白血球などにより細菌は死滅しますが、その細菌がグラム陰性桿菌であった場合、細胞膜成分がエンドトキシンとして子宮内に残ってしまうのです。
子宮内にエンドトキシンがあると、毒性があるので、受精卵が冒され、死滅してしまう事があります。
そのため、体外受精で受精卵を子宮内に戻しても妊娠できない確率が高まります。
不妊とエンドトキシンの関連性とは?
欧米の不妊研究で、子宮内エンドトキシン濃度と体外受精の治療成績が有意に関連するとの研究発表がありました。
この研究では、一定の濃度以上が認められた場合に、
・子宮内膜炎などの子宮内に炎症を引き起こす
・受精卵(胚)が死滅する
・射精精子が死滅する
・卵管閉塞や子宮内膜着床不全となる
といった弊害を引き起こしやすいとしています。
検査の流れとは?
子宮内エンドトキシン検査は、着床の妨げとなるエンドトキシンが子宮内に存在するかを月経血を直接採取して調べる検査です。
「月経血」から測ります。
月経開始後2~3日目が目安であり、月経血が一番多い日に行います。
正常値は、1.0pg/ml以下とし、子宮内月経血の結果が1.1pg/ml以上であれば陽性とし、治療が必要になります。
特に、値が4.0pg/ml以上となると妊娠が難しい環境であるといわれています。
陰性(1.0pg/ml以下)になるまで治療が必要です。
子宮内エンドトキシン検査が陽性の場合、7〜8割の方が妊娠しないと言われています。
病院によって料金は違いますが、約8000円程で受けられます。
エンドトキシンが陽性であった場合には、抗生剤の内服をし、次周期以降に再検査で陰性に転化するのを確認します。
一般的には1周期の治療を経て、次周期から妊活が再開できます。
ただし、血中濃度が著しく高かった場合は、2~3周期にわたって治療を必要とすることもあります。
まとめ
不妊の原因はいろいろあります。
その中で、エンドトキシンが子宮内にあることによって、不妊の原因の一因になる事は間違いないと思います。
ちなみに、すべての産婦人科でエンドトキシン検査を行ってはいないので、受診する前に電話などで確認をしてください。