不妊と着床率

着床とは?

着床とは受精卵が子宮内膜に張り付くことをいいます。

排卵された卵子と精子が受精して生まれた受精卵は、細胞分裂を繰り返しながら、7~10日かけて子宮内へと移動します。

受精から6〜7日後頃から着床が始まり、14日目頃になると胎盤の基ができ、母体と胎児の血液は直接混じり合うことなく酸素や栄養分のやりとりを行うことができるようになります。

それは母体と胎児が結びついたことを指し、この時点で「妊娠」が成立したこととなります。






自然妊娠における着床率は?

健康な20代の女性が性交渉をもった場合、妊娠する確率はひと月(1月経周期、1周期は平均28日前後)で約20~25%、30代前半では約15~20%、30代後半では約10%、40歳になると5%以下になります。

健康な40歳の女性が性交渉を持った場合、100人のうち、妊娠に至るのは5人未満となり、残りの95人は妊娠に至らないという計算になります。

20代前半と後半では、妊娠の確率はほとんど変わりませんが、合併症などの発症が20代前半のほうが後半より少し多いため、妊娠するのに一番良いのは20歳代後半であると言われています。 






人工授精における着床率は?

タイミング法で妊娠しない場合や、男性に勃起障害などがある場合に行われるのが、

人工授精です。精液を洗浄・濃縮して、直接子宮内に注入します。

人工授精の1ヶ月あたりの着床率は、約5%とされています。

累積妊娠率で人工授精の妊娠率を検討すると、およそ 5〜6 回くらいで妊娠率は上がらなくなります。






体外受精における着床率は?

体外受精と顕微授精は採取した卵子と精子を体外で受精させ、一定期間育てた後に女性の子宮に移植する方法です。

25歳以上で40%をきり、32 歳くらいまでは30%代後半の確率を出しています。

しかし、35歳をこえ、30代後半から徐々に妊娠率は低下し、40歳で20%をきり、43歳で約10%、44歳で10%をきります。

そして、45歳以上は 5%以下となり、限りなく0に近づきます。






自分でできる着床率を上げる方法とは?


・ストレスを減らす

妊娠には卵胞ホルモンと黄体ホルモンという、ふたつの女性ホルモンが大きく関わっています。

女性ホルモンは、脳の視床下部・下垂体という部分からの指示を受けて、卵巣から分泌されます。

視床下部はストレスの影響を受けやすい場所のため、ストレスをため過ぎるとホルモンバランスが崩れてしまうことがあります。

妊活は長期戦になる場合も多いので、ときには肩の力を抜いて、自分の好きなことを楽しんだり、おいしいものを食べたりしながら、上手にストレスを発散することを心がけましょう。



・栄養

卵子の質を上げるためには、高タンパク+低糖質が必須です。

そして、種類の違うものをバランスよくとるために、主菜は肉か魚、副菜は卵・豆腐・チーズなどを活用しましょう。

また、妊娠するために必要な鉄を多く含むレバー、肉、マグロ、カツオ、葉酸を多く含むむレバー、ブロッコリー、小松菜、亜鉛を多く含むカキ、レバー、鮭などを積極的に摂取しましょう。

血糖値の急上昇を抑えて、活性酸素の発生を抑えるために、1食における糖質量を50gを越えないようにしましょう。



・運動

運動をすると、血行が促進されると冷えが改善し、卵巣や子宮の機能低下が改善されて妊娠しやすくなります。

運動で筋肉を鍛えると、普段の生活から代謝がよくなるため、ホルモンバランスが崩れにくくなります。




・カフェイン

カフェインは大量に摂取すると、睡眠の質が低下し、ホルモンの分泌に影響が出てきます。

カフェインには利尿作用があるので、水分を身体から出すときに体温が下がりやすいといわれています。

妊娠した場合、カフェインを大量に摂取すると、流産のリスクが高まるという報告もあります。





・質の良い睡眠

睡眠には体の修復と大脳の疲労回復の働きがあります。

質の良い睡眠をしっかりとることが、身体と脳を回復させ、ストレスを解消することにつながります。

それによって、自律神経を整えられ、子宮や卵巣の機能を正常に働かせることができるようになります。

就寝の2~3時間前に入浴し、就寝直前までブルーライトを発生させているスマホなどを見ないようにしましょう。

また、就寝前にカフェイン・アルコールなどを摂取しないようにして、睡眠の質を高めるようにしましょう。





まとめ

着床率を上げるためには、病院まかせだけでなく、自身の生活を見直す必要があると思います。

普段あまり運動をする機会がなかったり、食事が偏りがちという方は、この機会に見直し、妊活に活かしてください。