精索静脈瘤

精索静脈瘤とは?

精索静脈瘤とは、陰嚢の静脈が拡張した状態をいいます。

静脈とは、内臓を栄養し終わって心臓に戻る血管のことです。

陰嚢静脈の血液は『精巣静脈』を通っておなかの中の太い静脈に入り心臓に戻ります。

しかし、起立している時や、おなかに力を入れた時に、血液がおなかの中の太い静脈→精巣静脈→陰嚢静脈へと逆流し、陰嚢静脈に鬱滞(うったい)した血液のために陰嚢が腫れて見えます。

これが精索静脈瘤です。

精索静脈瘤は生まれつきのものであり、静脈の特殊な走行のため、精索静脈瘤はほとんど左側に生じ、軽いものを含めると全成人男性の10~20%に見られます。

静脈血が陰嚢静脈に鬱滞すると、精巣の温度が高まり、精巣での精子を造る機能が障害され、精液所見が悪くなります。

通常、精索静脈瘤は無症状で、泌尿器科専門医の診察により初めて発見されるケースが多いです。







なぜ精索静脈瘤が男性不妊の原因となるのか?

精索静脈瘤が生じた部分は、血流の悪化や温度の上昇などが起こりやすく、精巣機能がダメージを受けてしまいます。

それによって、、「造精子機能の低下」、「精子のDNA損傷」、「男性ホルモン分泌の低下」 

などが引き起こされます。







精索静脈瘤の自己検診チェックとは?

次の項目に該当している場合は、精液検査を受けた方が良いと思います。

精液検査は、地域の泌尿器科や不妊クリニックでも受けることができます。


1.精巣サイズに左右差がある(例:左精巣が小さい)

2.陰のうサイズに左右差がある(例:左陰のうが腫れている)

3.陰のうが常に垂れ下がっている(例:静脈瘤がある左陰のうが垂れている)

4.陰のう表面がでこぼこしている

5.陰のう内に虫がいるように見える

6.陰のう内にうどんようなものがある



※精巣は、下腹部にある陰のうと呼ばれる皮膚が袋状に垂れ下がった部位の中におさまっています。






精索静脈瘤の治療法とは?

内精索静脈を血液が逆流するのが精索静脈瘤の原因とされております。

この内精索静脈を糸で縛った上で切り、逆流しないように手術します。

精索静脈瘤の手術には、血管を鼠径管より上で切断する高位結紮術と、鼠径管より下で切断する低位結紮術があります。

精索静脈瘤手術を行った場合、手術後約6割の患者様で精子濃度または運動率の改善がみられ、手術後1~2年の自然妊娠率は約30%と報告されています。






まとめ

精索静脈瘤を、治療することで、自然妊娠が難しい場合でも、人工授精や体外受精の成績が向上するといわれています。

セルフチェックを行って怪しいと思われたら、不妊クリニックを受診してください。